関ヶ原合戦当日の様子を戦場の南方面から描いています。
右隻一扇中段には徳川家康の本陣が、左隻五、六扇上段には石田三成の陣所があり、また、右隻五、六扇には開戦まもないころの東西両軍の激突の様子が、左隻一~三扇には東軍が押し気味に戦闘を展開している様子が描かれています。
旗指物や幕の描き方は単調ですが、人物・甲冑などは非常に丁寧に描かれており、陣形には一部脚色があるもののおおむね実際の位置に配置されています。また、戦闘場面に本多隊が島津隊を追い散らしている場面がありますが、これは合戦最後の敵中突破による島津隊の退却及び本多隊の追撃の様子を屏風絵の構成上脚色して描いたものと考えられます。
なお、関ヶ原合戦屏風絵は他に津軽本・井伊家本などが知られていますが、本屏風はそのどれとも異なる独自の様式を持っています。