今から千年ほど前、貴族文化が隆盛を極めた平安時代に紫式部によって記された『源氏物語』。帝(天皇)の実子という境遇、類いまれな美貌と才能をもって自由奔放な恋愛を重ねる主人公・光源氏の栄光と挫折を柱に、権力闘争に明け暮れる貴族社会の実態が赤裸々に語られています。当時から本作の人気は高く、今日でも日本古典文学を代表する傑作として、日本のみならず海外でも高い評価を得ています。
本展では、この『源氏物語』をはじめ、その作風に影響を与えたともいわれる『伊勢物語』など、平安文学を絵画化した絵図を展示。源氏物語絵図を中心に、物語のあらすじや時代背景の解説を交えながら、きらびやかな一方で権力闘争に明け暮れた平安貴族の社会や文化について振り返ります。