日本刀には「銘」が刻まれており、作者や製作時代などを見極める重要な手掛かりになります。しかし中には、古刀を使用者が身の丈に合わせて短くしたり、奉納刀など刀工があえて入れなかったりと、銘がない刀――「無銘刀」も多いのが現状。真贋を含めその見極めは、より難しいものとなります。
とは言え、銘の有無と刀の品質には直接関係がありません。名将・上杉謙信の愛刀「山鳥毛」(国宝)や源氏の宝刀「薄緑(膝丸)」(重文)など、無銘でも古の強者たちに愛された名刀も少なくないのです。
このような無銘刀を見極める手助けとなるのが地金や刃文、姿など。銘に頼らず、作者や時代、製作地を“なぞ解き”のように楽しみながら解き明かせるのが「無銘」の醍醐味であり魅力なのです。
本展覧会では、因幡刀工・金崎秀壽氏の監修のもと、「古青江」や「筑州左」など当館所蔵の無銘刀約20振りを展示。折り返し銘や額銘などの珍しい刀も紹介します。名もなき刀たちとの出会いを、ぜひお楽しみください。
※会期を7月23日(土)まで延長します