企画展

開催終了

企画展
会期/2022年09月03日~2022年10月10日
源平三昧 ~中近世絵画に見る源氏と平氏の興亡

【「曽我物語図屏風」鳥取県指定保護文化財指定記念】
――祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす(『平家物語』冒頭句)――
大河ドラマの影響で、改めてクローズアップされた源平争乱。覇権をめぐる骨肉の争いで、平氏は滅亡、源氏は再興を果たしました。その様子を戒(いまし)めとともに記したのが『平家物語』。琵琶法師による語りで庶民に浸透し、絵画や浄瑠璃などで具象化もされました。
本企画展では、この平家物語の1シーンを描いた鳥取藩絵師・根本幽峨の傑作の1つ「平家物語 宇治川先陣・弓流図屏風」(鳥取県指定保護文化財)をはじめ、鳥取県指定保護文化財に新たに指定された国内最古級の「曽我物語図屏風」(土佐光吉)など、源平にまつわる絵画の数々を展示します。

〇見どころ
●土佐光吉「曽我物語図屏風」 鳥取県指定保護文化財
『曽我物語』は日本三大仇討の1つで、源頼朝が催した富士山麓での巻狩りの混乱に乗じて実行されました。本作は、曽我物語を描いた屏風としては国内最古級であり、400年以上前の桃山~江戸初期ごろの作品。装束の文様などまで緻密に描かれ、金や上質な絵具をふんだんに使った華やかな作品となっています。作者の光吉は宮廷絵師として活躍した土佐派の流れをくむ人物であり、その作風から当時のみやびな宮廷画の雰囲気をうかがい知ることができます。

●根本幽峨「平家物語 宇治川先陣・弓流図屏風」 鳥取県指定保護文化財
『平家物語』の1シーンを描いた作品。根本幽峨は江戸後期に鳥取藩絵師として活躍した人物ですが、本作は藩絵師になる前の若い頃の作品です。今日に至っても退色のない高価な岩絵具をふんだんに使った作品であり、当時から藩とかかわりがあった幽峨が鳥取藩の御用で描いたものと思われます。本作は丁寧なタッチで細部まで細かく描かれ、大胆な構図で躍動感あふれる美しい作品であり、大藩だった鳥取藩のお抱え絵師たちのレベルの高さがうかがえます。

●「源平合戦図」
『平家物語』の屋島と一ノ谷の各合戦を俯瞰で描いた六曲一双屏風、木曽義仲と巴御前の奮闘が描かれた六曲屏風、屋島の戦いで扇の的を射た那須与一を描いた掛軸(テレビ番組にも時々貸し出し)、壇ノ浦の戦いなど各合戦を描いた歌川国芳・芳虎らの浮世絵の数々などを展示しています。